仏教説話

お施餓鬼


   「 施餓鬼の法(おしえ) 」

 お施餓鬼といえば、彼岸や盂蘭盆を思いますが.....。
 施餓鬼とはどんな意味がありのでしょうか?



 弘法大師(空海上人)が中国(昔の唐)から、日本にお持ち帰り(請来した)になった、「佛説救抜焔口餓鬼陀羅尼経」という教典に説かれています。




 お釈迦さまの十大弟子のひとり阿難尊者(あなんそんじゃ)が、深夜、ひとりで修行していると、焔口(えんく)という名の餓鬼をみました。

 その姿は、身体は醜(みにく)く枯れ細り、口から火を吹き、喉は針先のように細く、頭の髪は乱れ、牙(きば)のような歯や鋭い爪をはやしており、見るも恐ろしい形相(かたち)をしていました。

 餓鬼は阿難尊者の前に座り言いました。

  「お前の寿命はあと三日で尽きる。死んだ後は餓鬼となり、わたしと同じような醜い恐ろしい姿になるであろう。」

 阿難尊者はびっくりして、尋ねました。

  「どうしたら、その苦(くるしみ)からのがれることができますか。」

すると、餓鬼が言いました。

  「明日、ガンジス川の砂の数にも等しい餓鬼に、おいしい飯食(たべもの)をインドの米の特産地であるマガダ国の斛で、それぞれに一斛(百八十リットル)を布施しなさい。そして同時にわたしのために三宝を供養しなさい。そうすれば、あなたはその功徳によって寿命がのび、わたしは餓鬼の苦(くるしみ)を離れることができます。」



 阿難尊者は恐れにふるえながらお釈迦さまに助けをもとめました。

 お釈迦さまは、観自在菩薩(観音さま)と世間自在威徳如来(阿弥陀さま)から授かった施餓鬼の法を阿難尊者にお教えになりました。

  「心配しなくてよい、この『加持飲食真言』を唱えながら餓鬼に食物を布施しなさい。そうすれば僅かな一食でも、たちまち多くのおいしい食物になり、無数の餓鬼を満足させることが出来ます。」


  『加持飲食真言(かじおんじきしんごん)

 「ノウマク サラバタタギヤタ バロキテイ オン サンバラ サンバラウン」

 「そして如来の名号を唱えなさい。如来の功徳により餓鬼の苦から救われます。」

  『南無過去宝勝如来』

 過去宝勝如来(かこほうしょうにょらい)は、むさぼりから生ずる悪い行いをすて、自己に対して清らかな心、他に対しては思いやりの心をよみがえらせてくださいます。

  『南無妙色身如来』

 妙色身如来(みょうしきしんにょらい)は、餓鬼のような、みにくく、いやらしい姿から美しい姿に導いて下さいます。

  『南無甘露王如来』

 甘露王如来(かんろおうにょらい)は、仏の法(おしえ)を身体と心にそそぎ、無上の喜びを与えて下さいます。

  『南無広博身如来』

広博身如来(こうばくしんにょらい)は、餓鬼の針先のように細い喉もとを広げ、布施した食物を自由に食べられるようにして下さいます。

  『南無離怖畏如来』

離怖畏如来(りふいにょらい)は、すべての恐怖を除き、餓鬼の世界から離れさせて下さいます。



 阿難尊者はお釈迦さまからこの法を教えて戴き非常に喜びになりした。そして、この教えにしたがい餓鬼に食物を布施し三宝を供養して寿命をのばすことが出来ました。



 この教えにより、三宝を供養し、『加持飲食真言』と『如来の名号』を唱え、器に盛った食物を加持し、餓鬼をはじめ有縁無縁の精霊一切精霊など、三界萬霊のすべての精霊に、その食物を布施して供養をいたします。

 薬王寺でも、お彼岸・盂蘭盆会では、ご宝前に五色の五智如来幡を掲げ、檀家さまのご先祖様をはじめ、無縁の仏様、彼我戦争犠牲者、災害被害者等、数多のご精霊様のご回向をいたしております。
 また、初盆の檀家様には、初盆供養会にて「五智如来幡」をお渡しさせていただいております。盂蘭盆会で、ご自宅のご仏壇にお奉りいただき、初盆でお帰りになったご精霊さまのご供養をお手伝いさせていただいております。

 餓鬼の苦しみを持ったものが、薬王寺ご宝前に集まって、この施餓鬼の法によって苦しみより離れ、み仏の大いなるいのちの世界、密厳浄土(みつごんじょうど)のやすらぎの世界に赴き、私達と共に美しく生きましょう。


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